シミュレーションと実測研修
先日、PASSIVE DESIGN COME HOMEの木村社長様にお越し頂き、パッシブ研修をして頂きました。
木村様は名古屋市にてパッシブデザインを設計施工する傍ら、全国32社のパッシブデザイン工務店のコンサルを行っていらっしゃいます。
https://passivecomehome.co.jp/
今回の研修は、シミュレーションと実測についてでした。
私どもTOAHOMEではただパッシブデザインで設計するのではなく、お客様の敷地で日照シミュレーションを行い、LDKに南の窓からいかに太陽熱を入れるかをシミュレーションしてプランを作っています。
場合によっては、吹抜けを作り2階の窓から太陽熱を落とし込む設計や、2階にLDKを配置することになる事もあります。
また、窓の位置だけではなく、窓の大きさにもルールを設けています。
①LDKやそれに繋がる吹抜けや階段や廊下等の主たる居室の床面積の20%程度を、主たる居室の南の窓面積とする
②すべての南の窓の窓面積は、延べ床面積の15%程度とする
③延べ床面積の20%程度を全体の窓面積とする
このルールを設けている為に、ほぼUA値は0.46以下、ηACは1以下、ηAHは2.0以上となっています。
外皮計算を行い、室温のシミュレーションも行います。
外皮計算では付属部材(外付けブラインド・ハニカムシェード・カーテンなど)と、外壁と屋根の色に応じた日射熱吸収率も考慮して計算しています。
そして、付属部材をつけた状態でエアコンをつけない状態で室温がどう変化するかを見てみます。
家の本当の性能を知るには、自然室温が大事になります。
TOAHOMEの目標は、冬の晴れた日は、深夜0時に20℃で暖房をつけない自然室温が、朝6時で15℃以上、最高20℃以上が目標です。
夏は、深夜0時が27℃で冷房をつけない自然室温が35℃以下が目標です。
通常の住宅では40℃以上になります。
これを一次消費エネルギーの計算式に持っていき、一次エネルギー消費量を算出し、年間光熱費のシミュレーションを行っています。
前置きが長くなってしまいましたが、これからはシミュレーションだけでなく、実測もしていこうということで、木村様にHEMSを使った電気使用量と温湿度の実測の仕方と、計測データの分析について研修して頂きました。
HEMSを使い分電盤の回路を部屋ごとにエアコン、照明、換気設備、給湯設備、その他と分けて配線することで、使用した電気を見ることが可能になります。
電気使用量が多い部屋や機器がひと目でわかるので効率的に節電をすることができます。
温湿度センサーを使用することで、HEMSの基本であるエネルギーの見える化に加え、屋内ならびに屋外の温度や湿度情報も一元管理できます。
データの収集に同意を頂けるお施主様宅の計測データをTOAHOMEが分析し、
・LDKと洗面室の温度差が大きいので、洗面室のドアは開けて過ごしましょう
・エアコンは在室時だけ何℃以上で稼働させましょう
など、快適で省エネな生活空間の実現をするためのご提案ができれば、と考えています。
また、ホームズ君の省エネ診断ソフトの操作についても研修して頂きました。
ホームズ君では、外皮計算に加えて、室温・暖冷房負荷のシミュレーションを行うことができます。
エアコン運転スケジュールについて部屋ごと時刻ごとに温度を設定していきます。
その他にも算定条件の設定を行い、計算を実行すると部屋ごとの室温の分布を見ることができます。
こちらはLDKの室温分布です。
エアコンの暖房期の設定温度を21℃にしたところ、20℃未満の割合が19%、
冷房期の設定温度を27℃にしたところ、28℃を超える割合が5%ありました。
人によって快適な室温は違いますが、暖房の設定温度を21℃ではなく22℃から23℃にする必要があります。
光熱費も月ごと項目ごとに見ることができます。
算定条件が違うので偶然ではありますが、別のソフトで計算した金額と近い金額になりました。
これから1年間、このお家の電気使用量と温湿度を実測させて頂き、このシミュレーションと一致するのか?整合性を確認していきます。
今回のブログは木村様のブログより一部引用させて頂きました。
木村様、研修ありがとうございました。
https://passivecomehome.co.jp/column20231006/