日射熱利用暖房-冬の太陽熱で窓はストーブ-
前回のコラム「シミュレーションと実測研修」にて、
TOAHOMEでは南の窓からいかに太陽熱を入れるか?をシミュレーションし、
窓の位置や大きさにルールを設けていることをご説明しました。
日射熱によって暖められた部屋の快適感は高く、省エネ効果も高いことから
日射熱利用暖房に取り組むことには大きな価値があります。
では、どれくらい暖かいのか?
冬の南面の窓には1日で4.01kWh/㎡の太陽熱が当たります。
1日の日照時間が10時間として、1時間あたり、
4.01kWh/㎡÷10h=0.401kWh/㎡の太陽熱が窓外に当たります。
単位をkWからWに変換すると、0.401kWh/㎡=401W/㎡
2枚の引き違い窓は1.65m×2m=3.3㎡なので
401W/㎡×3.3㎡=1323Wの太陽熱が南面の窓に当たる事になります。
日射取得型の窓を採用し、取得率が45%の場合には、
1323W×0.45=595Wが室内に入ります。
2枚引き違い窓が2つあれば、595W×2=1190Wとなります。
つまり、2枚引き違い窓が2つあれば電気ストーブとほぼ一緒(しかも無料!)です。
↓
\ 電気ストーブ /
入る熱は1時間あたり、1190W
日照時間は10時間程度なので1190W×10h=11900Wh
出る熱は、断熱性能熱貫流率が1.65W/㎡Kだとすると
2枚引き違い窓が2つで
1.65W/㎡K×1.65m×2m×2つ×(20℃-6.9℃)=142W
※6.9℃は松山の暖房期の平均外気温
出る熱は24時間あるので、142W×24h=3408Wh
入る熱と出る熱の差は、11900Wh-3408Wh=8492Wh=8.49kWh
1日あたりの電気代は(電気単価40円/kWhにて計算)
8.49kWh×40円/kWh=339円
暖房期を4ヶ月間(120日)とすると
339円×120日=40,680円、窓によりお得になります。
しかし、窓をつけすぎると、今度は寒くなってしまいます。
TOAHOMEでは日照シミュレーションを行い、しっかりと日が当たる窓を、
3つのルールにより設けるようにしています。
①LDKやそれに繋がる吹抜けや階段や廊下等の主たる居室の床面積の20%程度を
主たる居室の南の窓面積とする
②すべての南の窓の窓面積は、延べ床面積の15%程度とする
③延べ床面積の20%程度を全体の窓面積とする
冬のパッシブデザインでは日射熱利用暖房が大切ですが、
夏のパッシブデザインでは日射遮蔽をすることが大切になってきます。
庇で約50%カットし、50%室内へ
ルーバーやシェードで85%カットし、15%室内へ
室内に入ってくる日射熱は掛け算をして、0.5×0.15=0.075
庇とルーバーやシェード利用で7.5%しか太陽熱は室内に入らないということになります。
窓外の付属部材は高い日除け効果がありますが、
Low-E複層ガラス・日射取得型と組み合わせた場合、
内付ブラインドで70%カット、レースカーテンでも66%カットすることができます。
太陽熱を上手く設計によりコントロールすると、
快適で省エネで健康な家になります。