エアコン機種は何畳用を選ぶのが適切なの?
私どもTOAHOMEでは、
EnergyZooというソフトで、住宅の省エネ性や室温、光熱費などの
シミュレーションを全棟行っています。
人によって冷暖房の使用時間や設定温度が変わるので、実際の光熱費と
ズレはありますが、参考値としては十分な精度です。
では実際、エアコン機種は何畳用を選ぶのが適切なのか?
これを調べるために、EnergyZoo暖冷房能力設定プログラムで
エアコンの運転スケジュール(使用時間)を変化させて
最大負荷のシミュレーションをしてみます。
なお、最大暖房負荷はほとんどの場合起床時に発生するので、
冷房スケジュールのみ変化させます。
お客様のお家ですので、間取りは掲載できませんが、
計算を行うのは、南面に4帖の吹抜けのある22帖のLDKです。
断熱レベルはHEAT20 G2(断熱等級6)程度、
気密性を表すC値は0.5㎠/㎡程度の当社標準仕様です。
シミュレーション①
暖房時設定温度:21℃、冷房時設定温度:27℃
冷房スケジュール:午前中から夕方以降まで冷房する
「午前10時頃までに冷房開始→午後7時頃以降まで冷房する」場合を想定します。
休日・平日ともにこの時間にLDKに滞在する家庭の想定になります。
計算結果は、暖房期の最大能力:6.28kW、冷房期の最大能力:2.16kWでした。
この結果とエアコンのスペックを突き合わせ、計算で求めた最大能力を概ね超えつつ、
それに近い最大能力を持ったエアコンの機種選択を考えます。
あくまで目安ですが、ダイキンRXシリーズの6畳用エアコンで
暖房・冷房とも最大能力を賄うことができそうです。
シミュレーション②
暖房時設定温度:21℃、冷房時設定温度:27℃
冷房スケジュール:18時前後から冷房する
設定温度は①と同じで、
「18時頃に冷房開始→就寝時(23時頃)まで冷房する」場合を想定します。
共働き家庭などで、休日・平日ともに日中LDKに不在の家庭の想定になります。
計算結果は、暖房期の最大能力:6.28kW、冷房期の最大能力:9.01kWでした。
あくまで目安ですが、ダイキンRXシリーズの29畳用エアコンで
最大能力を賄うことができそうです。
冷房に比べて、暖房はとても余裕があります。
「18時前後から冷房する」と、
エアコンの最大冷房負荷が大幅に大きくなるのは、
冷房は外気温・日射量・スケジュールの組み合わせによって
最大負荷が時間ごとに大きく変化するからです。
夏の外気温が非常に高い18時前後に、エアコンを点け始めると、
冷房の立ち上がりに大きな能力が必要になります。
①と②を比べると、日中エアコンを点けていた方が光熱費が安いのでは?
と思ってしまいますが、
「最大能力が小さい=エネルギー消費量が少ない」ということではありません。
一般的に間欠的に暖冷房するより、連続的に暖冷房するほうが
暖冷房エネルギー消費量は大きくなり、光熱費も高くなります。
シミュレーション③
暖房時設定温度:21℃、冷房時設定温度:27℃
休日の冷房スケジュール:午前中から夕方以降まで冷房する
平日の冷房スケジュール:18時前後から冷房する
平日に共働きしている家庭で、休日は一日中LDKに滞在するという想定です。
シミュレーション①と②で使用したEnergyZooというソフトでは
1つのスケジュールしか選択することができません。
そこで今回は、ホームズ君パッシブ設計という別のソフトを使って計算してみます。
ホームズ君パッシブ設計では、エアコンを選択し、
能力不足の発生する時間と割合を確認することができます。
能力不足が3%程度までに収まるような機種であれば、
ごく希に「設定温度に到達する時間が少し長くなる」ということになり、
大きな問題は生じないのではないかと考えられます。
計算結果は、14畳用で1.9%、20畳用で0.5%の能力不足が発生、
23畳用では能力不足が発生しないということでした。
ダイキンRXシリーズであれば14畳用~23畳用の間で検討できそうです。
余裕があり過ぎると効率が悪くなる場合があることにも注意が必要です。
ソフトによって計算方法などの違いがあり、
一概に、どちらのプログラムによる判断が安全とは言えないのですが、
エアコンの冷房スケジュールが、エアコンの能力設定に
大きな影響を与えるため、
カタログの畳数表示だけで判断するのではなく、シミュレーションをすることで
状況に合わせた適切な機種を選ぶことができると考えています。